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当センターでは、一部の診療科や検査を除いてありとあらゆる病態や傷病に対し、単独での診療提供が可能な体制を整備しています。この体制の一番のメリットは、一分一秒を争う緊急性の高い重症救急患者さんに対し、迅速に対応できるということです。 医療機関に併設した救命センターが一般的ですが、併設型救命センターのほとんどが各科対応形式をとっており、患者さんの治療方針は当該専門診療科にコンサルトして決定されるために余分な時間を要します。

もしその患者さんが複数の専門診療科に亘る診療を必要とする場合には、複数の診療科の専門医にコンサルトし協議した上で治療の優先順位や治療方針が決定されるために、相当な時間を要し迅速な対応ができない危険性があります。一方、当センターは自己完結型が故に、施設内において医療スタッフは各病態に対する診療方針についての共通認識を有しており、緊急性の高い処置や手術が常に可能な体制が整備されているために、どのような患者さんに対しても迅速な対応が可能です。

ただし、病床数に限りがあるため、常に重症救急患者を受け入れる体制を確保するためには、急性期治療を終え病状の安定した患者さんには、リハビリや経過観察目的での転院をお願いせざるを得ません。現在、当センター搬送患者さんの平均入院日数は10日未満となっております。患者さんや御家族の方々には、当センターの社会的な責務上、常に空床を確保する必要があるため、自宅へ元気で退院できるまで診療提供できないことをご容赦願いたく思います。また、当センターは救急車による重症救急搬送例しか受け入れておりませんので、自家用車等で来院された方や当センター退院後の外来診療は原則的に行っていないこともご了承願います。

当センターでは年間約900例の重症救急患者を受け入れています。301例が外因患者で、内269例が外傷患者です。内因性疾患患者約440例の中では脳血管障害患者が多く70例以上に達しますが、その他ありとあらゆる傷病・病態の患者さんを受け入れています。また、内因、外因合わせて院外心肺停止患者が154例に上ります。年間540件以上の全麻手術、56件程度の血管造影・塞栓術・血管内手術を行っています。

平成25年4月に、隣接する地方独立行政法人りんくう総合医療センターと統合しました。統合に先立ちりんくう総合医療センターの各専門診療科との協働診療体制の運用を開始しました。その結果、受け入れ患者数や手術件数の増加が予測されます。

外傷診療

全国的に見ても外傷患者の搬送例が多く、当センターの外傷診療の質の高さは定評があります。重症外傷患者の救命は、受傷後1時間がすべてであるといっても過言ではありません。特に全身のいたるところに損傷のある多発外傷患者さんにおいて、常に複数の専門領域に亘る診療を同時に展開できる独立型救命センターの利点が最も効果を発揮します。また、外傷患者の救命率を向上させるためには、病院前救護活動において適格な搬送先病院の選定が重要で、泉州地域ではメディカルコントロール体制の中で救急救命士に対して、外傷患者の搬送先として三次救命救急センター選定のための基準を提示しています。 さらに、若手医師に対する外傷初期診療に関する標準的な教育ツールとして使われている、外傷初期診療ガイドライン(JATEC)の作成および普及においても、当センターは中心的な役割を果たしており、日本の外傷診療の進歩の一翼を担ってきたと言っても過言ではありません。



またH22年より、外傷外科医および外傷外科手術チーム養成のためのoff-the-job trainingコース(SSTTコース)を開発し、運営しています。

外傷外科手術治療戦略コース(SSTTコース)のホームページはこちら

内因性疾患

内因性疾患としては、脳血管障害(脳卒中)が最も多く、特に動脈瘤破裂によるくも膜下出血の治療において優秀な成績を収めています。くも膜下出血の治療には、動脈瘤の再破裂を予防するためのクリッピング術や血管内手術と脳圧コントロールや血管攣縮を予防するための全身管理の協調が重要です。ここにおいても、脳神経外科的な専門技術と呼吸循環管理や脳保護治療などの集中治療を同時に提供できる当センターの機能が有益であると言えます。特に当センターでは、くも膜下出血後の合併症として重篤な脳血管攣縮を予防するために、当センター独自の輸液管理方法を導入していますが、導入後5年以上を経過しますが、症候性血管攣縮合併を一例も経験していません。 その他、あらゆる疾患の急性期病態に対して診療提供していますが、他院入院中に重篤化した患者の転院も受け入れ集中治療を提供しており、泉州地域の集中治療室の役目も担っております。 平成24年4月から、りんくう総合医療センターの各専門診療科と協働して、脳卒中と循環器救急疾患患者に対しては救急搬送受け入れ窓口の一元化や急性期外科(Acute Care Surgery)センターの立ち上げを行い、その結果この領域の受け入れ患者数の増加と確実な専門診療体制の充実を目指しています。

全身管理

一般的な呼吸循環管理はもとより、必要に応じてHD、CHD(F)、ECMO、PCPS、IABPなど高度な医療機器を使用した治療に関しても、常に導入できる体制が整っています。

病院前救護体制の確立(メディカルコントロール)

メディカルコントロールとは、救急救命士が行う病院前救護活動の質を、我々医師が保証することです。当地には泉州地域メディカルコントロール協議会がありますが、唯一の三次救急医療機関である当センターが中心的役割を担い、救命士の行う病院前救護に関する活動指針やプロトコルの整備、活動内容の検証、平素の教育や指導に関することすべてを統括しています。

災害拠点病院

関西国際空港緊急計画(消火救難・医療救護活動)
日本DMAT・大阪DMAT

救急医療従事者の育成





救急・災害医療に関する学術活動