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重症頭部外傷や脳卒中など、中枢神経系に重篤なダメージを負った患者さんの管理は非常に難しく、高度な知識と経験、さらには十分なモニタリング設備が必要とされます。全国有数の3次救命救急センターとして、そのような治療ニーズに答える為に開設されたのが我が高度脳損傷・脳卒中センター(BDSC)です。




高度脳損傷・脳卒中センター(BDSC)はりんくう総合医療センター5階山側病棟に展開する、重症頭部外傷と脳卒中患者の為のニューロICUです。6床のICUベッドと4床の観察ベッドを擁し、全床人工呼吸管理可能です。 ICUの高度な全身管理と、SCUの専門的な脳神経管理・リハビリテーションの機能を兼ね備えた、全国でも希な集中治療室です。そこで働くスタッフにも、当然高度な知識と技術が要求されます。
「十分な全身管理ができて初めて脳神経管理ができる。」を合い言葉に、我々医師・看護スタッフ一同、勉強と実践の毎日です。新人ナースの教育にも力を入れています。 呼吸器のウィーニングや輸液変更など、看護師とドクターが毎日ディスカッションを重ねて進めて行きます。
迅速な対処が生死を分けるような緊迫した場面では、医師・看護スタッフが連携して患者の治療に向かいます。こんな時に見せるチームワークの良さも、われらがBDSCの自慢の一つです。
もちろんレントゲンやリハビリテーションスタッフなど、パラメディカルの協力も欠かせません。

脳外科レジデント制度

BDSCが重症患者の集中治療や看護師教育とともに力を入れている3本柱の一つが、若手救命医の育成です。 BDSCセンター長が主宰する「脳外科レジデント制度」は若手救命救急医を対象に頭部外傷手術を訓練する制度です。4ヶ月の研修を2回行い、最終的には穿頭血腫除去術、脳圧センサー挿入術を独力で、また緊急減圧開頭を指導医の元で執刀できる事を目指します。研修は座学と指導医の下での執刀によって構成され、厳しい指導のもと、すでに数名の救急医が執刀できるようになりつつあります。

近年全国各地の病院で救急医や脳神経外科不足が深刻化しており、脳外科に関しては当院も例外ではありません。
しかしながら、幸いにも我が大阪府泉州救命救急センターは全国から熱意ある若手救急医が数多く集い、全国屈指の充実した体制で治療に望んでいます。 これら若手救急医に頭部外傷外科の基本を習得して頂き、脳外科と救命救急科がお互いに協力し合って脳神経救急医療を進めていく事が今後の医療のあるべき姿と考えています。

頭部から腹部・骨盤まで幅広い外傷研修が可能な施設は全国でも希少です。我々BDSCは次世代の救急医療を担う熱意ある若手医師をお待ちしています。

BDSCでは救急医療、看護・医師教育のほか、臨床研究など数多くの仕事を担っており、日々慌ただしく過ぎていきます。しかしながらいつかはBDSCが日本の神経救急医療のモデルとなり、世界に通用するニューロICUとなるように、志を大きく持って一日一日を大切に過ごして行こうと思っています。

スタッフ

高度脳損傷・脳卒中センター長 萩原靖