りんくう総合医療センターでは、急性期外科的病態(外傷、急性腹症などの緊急手術を要する病態)に対して対応するため、本邦で初となる「Acute Care Surgeryセンター」を設立しました。りんくう総合医療センター外科と大阪府泉州救命救急センターが連携して、当医療圏内で発生した急性期外科的病態患者の診療を医療圏内で完結することを目指しています。
Acute Care Surgeryは欧米の外傷外科医を中心としてその概念が確立し、現在では日本にもその考え方が導入され確立されつつある一外科領域です。 米国では、消化器外科、小児外科、心臓血管外科などにならぶ一つの領域として確立されています。日本Acute Care Surgery学会も設立され、その認知度と必要性はここ数年日本において急速に高まっています。
Acute Care Surgeryとは、以下の3つの診療を提供する新しい診療領域です。外科と救急が融合した新領域と言えます。
●胸腹部外傷外科 trauma surgery
●急性腹症などを含む救急外科 emergency surgery
●集中治療管理 surgical critical care
Acute Care Surgeryの担当する領域は上記の3つとされており、集中治療を必要とする急性期外科的病態がその主たる領域となりますが、広義には、集中治療を必要としない外科的病態の治療もその領域と考えられています。
当Acute Care Surgeryセンターでは、集中治療を必要とする重症例からそれを必要としない症例まで幅広く急性期外科的病態に対応してまいります。
●胸腹部外傷および集中治療管理を必要とする重症急性腹症患者(敗血症性ショックを含む)は、原則的に泉州救命救急センターにおいて手術および集中治療管理を行います。
●全身状態が比較的安定している上部消化管穿孔や急性虫垂炎など鏡視下手術が第一選択と判断される症例においては、りんくう総合医療センター外科と泉州救命救急センターが共同で診療に当たります。
2012年8月の開設以来、症例数は増加の傾向にあります。
●Acute Care Surgeryセンター開設以降の年間手術数
所長 兼 Acute Care Surgeryセンター長 中尾彰太